こんにちは!おの整骨院の小野いんちょです。
今回は関節がボキボキと鳴る理由についてまとめました。
突然ですが
日頃から、関節がポキポキと鳴ることはありませんか?
これは関節の中で骨がズレたわけでも、筋肉がおかしくなったわけでもありません。スッキリ感を感じたくてわざと鳴らす人もいますね。
治療行為として整体や矯正術で行っている先生もいます。
では、なぜ関節が鳴るのか?一体、体の中で何が起きているのでしょうか。
目次
3番で察したかもしれませんが(苦笑
関節が鳴ることはヒトの体にとってネガティブなことです。
なぜ悪いのか?なぜ鳴ってしまうのか?
そのメカニズムについて説明致します。
1.関節がポキポキと鳴る理由
動き始めたときに関節がポキッと鳴り、その後は鳴らなくなる・・・。
結論から言うと、この現象は関節の中で気泡が弾けたときに関係します。
関節というのは一部を除いて、ほとんどがイラストのような形をしています(小野画伯より)。
上下の骨のすき間は関節包で包まれ、内部には関節液(ヒアルロン酸など)が充満し、密封されています。
ひとたび体を動かすと、関節液で満たされた内部の圧力が急速に変化し、液体が気化して気泡(キャビティ)が発生します。
この圧力変化による気泡の発生を『キャビテーション』といいます。
ちょっと文章だけだと解かりにくいですよね。
キャビテーション現象が分かりやすいのが、船に備え付けられているスクリュー写真です。
水中でスクリューを急速に回転した時に“泡”が発生しているのが分かりますね。
水中には空気が無いにも関わらず、このような沢山の泡が発生するのは
急速に回転したスクリューによって水中の流れが変わり、圧力が下がることで液体が気化したのです。
1-1.2018年に論文発表がなされました
2018年に科学専門誌Scientific Rdportsで「関節が鳴ること」に関する研究論文が掲載されました。
論文はフランスのエコール・ポリテクニーク(パリサクレ―大学の理工学系機関)の研究チームを率いるアブドゥル・バラカト教授。
「指関節を鳴らした時に生じる音の原因は、関節内の液体中にあるキャビテーション気泡の部分的な崩壊だ」と説明するものでした。
研究論文『Mathematical Model for the Sounds Produced by Knuckle Cracking』
この論文発表によって100年以上前から続く、関節の音が鳴る理由については一応の決着をみることができた。
1-2.どのようにすると関節が鳴るのか?
話しを関節に戻します。
関節がポキポキと鳴るのは、この気泡が弾けたときの衝撃が関節軟骨を刺激した音です。
関節内で急な陰圧(内部が外部に比べて圧力が下がること)が起きることで気泡の表面(膜)が伸びて破裂します。
関節内にある気泡は弾けて減っていきますので、やがてポキポキと音が鳴らなくなります。
しかし、時間が経つとまた気泡が発生するため、再び動き始めの際にポキポキと音が鳴るのです。
この急な陰圧が起きる動きは主に5つあります。
- 動き始め
- 強いストレッチ
- 関節矯正などによる首や腰のアジャスト音
- 牽引
- 指のボキボキ
動き始めを除けば、全て関節の生理的な限界を超えた範囲に動かしています。
この生理的な限界とは反対の手や他の人が行う、他動的に動かすことです。
引っ張り動作と捻り動作は生理的な限界を超えているという意味では同じです。
両方とも陰圧傾向が著しく高まるため、ポキポキと音が鳴るのは当然と言えます。
関節が鳴る原理を分かった上で、もう一歩分かって欲しいことがあります。
それは「関節の中ではどのような問題が発生するのか」です。一見すると害は無さそうですが、問題はこの気泡が弾けた際にあります。
2.関節が鳴ると体はどうなる?
関節液の中で液体が気化し、気泡が弾ける。この現象については物理的な影響から説明する必要があります。
2-1.キャビテーションエロージョンの存在
気泡が弾けたときに、小さい面積ではありますが瞬間的に1トン以上もの衝撃が発生します。
キャビテーションによる影響
これは長年使われてきた船のスクリューです。
繰り返される気泡の破裂は、衝撃圧を起こしてスクリューに加わり、やがては虫食い状に破損していったものです。
この現象を『キャビテーションエロージョン』といいます。
一発の衝撃で破壊される単純なものではなく
衝撃圧が繰り返されたことで起きる疲労破壊の現象です。
※キャビテーションは、液体の流れの中で圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象
※エロージョンとは、機械的に起こる磨耗作用のこと
2-2.関節で起きるキャビテーションエロージョン
関節内で発生する気泡は船のスクリューに比べて非常に小さいものです。
また簡単に関節が破壊されるものではありません。
しかし、繰り返し気泡が弾け続けることになれば、やがては関節面を虫食い状に損傷させるだけのダメージが溜まります。
内部から発生するダメージに対して、関節面は無防備にダメージを蓄積します。
しかし、ヒトの体には修復力があります。
繰り返されたキャビテーションの結果として、スクリューのように破壊されることはそうそうありません。
ですが、傷ついた組織(関節軟骨など)の修復と損傷を何回も繰り返し、やがて修復が追い付かなくなると関節が変形していきます。
ケガした傷口の治りが悪いと傷痕になるように、関節軟骨の擦り減りや関節そのものの変形はこうして進んでしまう可能性が高くなります。
私自身、子供のころ指をポキポキと鳴らしていると
親に「指が太くなるよ!」と叱られたものです。
気泡が破裂したことによる影響を鑑みれば的を得ていることが解かります。
関節がポキポキと鳴ると、鳴った瞬間はスッキリ感を感じることがあります。
しかし、体の中ではこのようなダメージが加わっていることは忘れてはいけません。
1日4~5回を365日続けたことを想像すれば
僅かな力でも、キャビテーションエロージョンの影響を決して侮ってはいけません。
それでは関節がポキポキと鳴らないための対策を講じていきましょう。
3.関節が鳴らない方法とは?
前述したように、関節がポキポキと鳴る原因は急な陰圧によるものです。
特に日常生活において多いのがストレッチ、捻り動作といった引っぱり系の動きです。
- 肘や肩でいえば荷物を持つ動作
- ヒザや股関節でいえば足組みや床座り
こういった動きにならないよう注意するだけでも対策になります。
また関節を鳴らすのが習慣になっている方は特に要注意です。
首や腰など、鳴らさないとスッキリしないということで半ば癖になっている方は大変多いです。
これは意識して鳴らさないように注意するだけで大半の方は改善されます。案外、関節を鳴らさなくても過ごせるものですから、ぜひ意識的に鳴らさないようにしていきましょう。
それでも動き始めや何気ない動きでポキポキと鳴る方には関節を強くすることが必要となります。
ヒザや足首であれば、ヒザに手を添えて体重を載せながら立ったり座ったりすると、適度な荷重が加わり関節が安定します。
また指であればゴムボールを握ったり、肩や肘であれば腕立てを行うと荷重が加わる良い体操となります。
このようにカギを握るのが荷重です。
ここで間違えやすいのは筋肉を強くすることです。
筋トレが有効なのは時と場合によります。
関節が安定していないうちに筋力トレーニングをしても、関節がポキポキと鳴ることは簡単には解決されません。
また筋トレのやり方によっては引っぱり系の動きが関節を悪くさせる可能性すらあります。
筋肉を強くすることと、関節を強くすることは別問題だということです。
関節を強くすために必要なのは『荷重』です。
下半身や首、腰といった体幹に対しては、生理歩行が自然で最良の荷重となります。
生理歩行とは、歩くための歩行です。
手荷物を持たず、歩きやすい服や靴にしてなるべく平坦な道を歩く。
始めは無理のないペースで、姿勢よく歩くことが大切です。
繰り返し歩き続けていくと
足腰や背骨にしなやかな関節の強さが取り戻されていきます。やがては簡単に関節がポキポキと鳴ることは無くなりますね。
生理歩行でポキポキ鳴ってしまう不安定な関節を良くしましょう!
関節が鳴ることの危険性をよく把握し
その上で予防策をしっかり敷いて、対応策を実践していきましょう。
おの整骨院 小野いんちょでした。
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コラム執筆・監修者
合同会社Linkage
代表 小野 俊介
厚生労働大臣認定 柔道整復師
厚生労働大臣認定 鍼灸師
厚生労働大臣認定 按摩マッサージ指圧師
経歴:
平塚市内整骨院勤務 4年
川崎市内整形外科勤務 2年
町田市内整骨院勤務 5年
2014年9月に足柄上郡大井町におの整骨院を開院
柔道整復師・鍼灸師・按摩マッサージ指圧師、その他。
2014年足柄上郡大井町におの整骨院を開業。
2021年小田原市鴨宮に、おの整体院かものみや分院を開設。
整体だけでなく、巻き爪、栄養体質改善指導を実施しています。